*売主側の出口としてこの物件の価格を見ると
新築当初からこの部屋を所有していたこのオーナーさんは、
十分資金回収ができたので現金化したいとのご意向をおもちでした。
新築当初の価格は、いくつかのデータから1000万円程度だったと推定されます。
今回の売出し価格設定880万円(坪単価174万円)は、
過去の取引事例や周辺の物件相場から考えても、安めの設定です。
なぜ、この価格で売りに出せるのでしょうか?
道玄坂でこの家賃は安いですから、
実際にはバブルの頃はもっと高い家賃だったに違いありません。
仮に当初から現時点の月7万円の家賃で27年間賃貸していたとしても、
オーナーさんは単純に2268万円の賃料収入を得ている計算です。
もちろん、空室や滞納、修繕などもありますし、各種税金、諸経費などもかかります。
それらの要素をあわせて考慮したシミュレーションでは、
インカムゲインによるキャッシュフローの累積は、約1110万円と計算されます。
(道玄坂のロケーションとしてはかなり厳しい稼働率90%、
家賃下落率年1%というパラメータで計算しています。)
しかし、従来は、礼金2ヶ月、更新料1ヶ月を入居者から受け取れました。
この立地であれば、賃料はシミュレーションの家賃より高かったでしょうし、
空室ももっと少なかったでしょう。
内装リフォームも慣例上入居者から預かっている2ヶ月分の敷金から清算が可能だったはずです。
ちなみに、
賃貸住宅の自然劣化による原状回復費用は借手である入居者が敷金から支払うというのが、
戦前の住宅事情から生まれ、最近まで続いた商習慣でした。
それを現在の賃貸市場に合わせて是正するという趣旨で、
原状回復費用は貸手のオーナーが負担するというルールができました。
2004年3月の都議会で可決され、10月から東京都内で施行された
「東京都賃貸住宅紛争防止条例」です。
一般的に東京ルールと言われていますが、これが全国的に普及しつつあるため、
原状回復費用はオーナー負担が一般化しはじめています。
シミュレーションでは、敷金、礼金、更新料など一切含めていませんので、
実際はシミュレーション値よりも高い累積インカムゲインが実現できていたはずです。
従って、仮に全額現金で購入していたとしても、
家賃収入で投下資金を回収し、さらにその倍ほどの額を手にしておられるのでしょう。
ですから理論的には、今、無料で譲渡したとしても利益は確保されます。
だからこそ880万円という格安の売値を設定できたのでしょう。
指値で買いが入るでしょうから、こういう背景なら、
売値にこだわらずにすぐ応ずれば、成約するだろうと感じました。
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